先日、知人の愛猫が死んだそうだ。
息を引き取った、虹の橋を渡った、永い眠りについた……色々な言い方がある。
周りが「死」をどう表現しようともそこにあるのはただの「死」だ。
余計な何かを付け加えることが憚られる。
自分はその猫に、そして知人に梅の写真を送った。
花は悲しみを和らげてくれるから。
花は人を優しい気持ちにしてくれるから。
鮮やかな赤い花は春を告げてくれるから。
春は朗らかでやさしいから。
でも、言葉は何も送れなかった。
「春だねー」「もっと外に目を向けるよ!」という知人に「窓を開けているだけで春の風は入ってきますので、のんびりですよー」と返すのが精一杯だった。
知人は梅を見るたびに愛猫を思い出して悲しくなるかもしれない。
自分の自己満足だったかもしれない。
願わくば、優しい風が知人の髪を揺らしてくれますように。