断捨離という自傷行為
※間違った断捨離をしています。断捨離自体が自傷行為ではないです。
長年住んでいた家から引っ越すこととなり、荷物の整理を始めた。
引っ越しの理由について詳細は省くが決して後味のいいものではない。客観的に見て引っ越した方が絶対にいいと断言できるが、感情としては「もう引っ越さざるを得なかったが自分が引き金を引いてしまった……」というのが正直なところだ。
そんなわけで断捨離をネガティブに始めた自分。
着なくなった服。ボロボロの絵本。使わない高校の教科書。たまっていってしまうハンカチ。先生とのやり取りが楽しかった数学のプリント。愛おしくてたまらない体育祭ノート。
たくさんのものを手放していく。
楽しかったなぁ。愛おしいなぁ。愛おしいなぁ。そう思いながら、荷物を減らさなければいけないからという理由でどんどん捨てていった。
ずっと、愛おしいなぁ、宝物の日々だったなぁ、と思いながら。
全部持っていけるわけじゃない。
荷物を減らすのはいいことだ。
大切なものを捨てるのは苦しかった。それでも荷物を減らすことが最優先と自分に厳しく言い聞かせて捨てていた。断捨離のスローガンは「使わないものは捨てる」になっていた。
思い出はとっておくタイプなので大好きな学校の先生からもらったお菓子の包装紙までとっておける。手放したが。
あらかた8割は片付いた頃、心はズタズタだった。大切なものは使わないものばかりだった。
何で使わないものばかり大切なんだろう。
ひどく傷つきながらゴミのひもを縛った。未練がましく捨てる前に撮った写真もある。
8割5分は片付いただろう。好きな漫画は心の整理がつかずにまだ捨てられない。趣味のものは段ボール一つにまとめたから見逃してくれ。そんな気持ちだった。
使うもの=必要なものだけを残していくと無味乾燥の物しか残らない。
ある日、ぼーっとするためにweb漫画を読んでいた。もう考えたくなかった。
そんな中で、出合ったのがこちらだ。
大切なものを次々に捨てていった。こんなに大切な素晴らしいものは私にふさわしくない。自分に過ぎたものだ。私はきっと持ち過ぎた。
神様に返す。差し出さなければ──
何時間もいくつも読んでいて、どの漫画だったか探し出せず引用元を紹介できないのが申し訳ない。上記の文章は自分のメモ書きで語尾など正しく引用できてはいないかもしれない。
精神的に病んでしまった主人公が次々と自分のものを捨てていくさまが自分と重なり、ここで初めて自分を客観視できた。「神様に返す」とまでは思っていないが「こんなに大切な素晴らしいものは私にふさわしくない。自分に過ぎたものだ。」という気持ちが共感できた。
「使わないものは捨てる」をスローガンに自分で自分を傷つけていた。
8割5分の片づけは終わっている。大切なものはあらかた捨てた後だ。もう手元にはない。
それでも少しだけでも残った大切なものを持って引っ越し先に行こうと思う。
自分を大事にすることの一つだと思うから。