バラのマジック

 買物は必要なものを買うのであって欲しいものを買うのではない。

 そう思っていた(今も思ってる)のでおねだりをしたことが記憶にない。

 ダメですよと言われたわけではなくて単純に理解できない。

 だから、「なにか欲しいものは?」と聞かれてもすぐに思いつくものもなく「わからない「ないなぁ」としか言えない。

 

 ある日、中学生いや高校生だったろうか。母と買い物をしていて、マジックのタネが売られているのを見かけた。500円で。貫通するコインや水を入れてもこぼれない新聞紙などが並んでいた気がする。

 その中で自分の目を引いたのが、突然現れるバラ。オシャレにサッと差し出すバラ。

 気になる!でも500円ということはそこまで壮大ではないだろうと冷静な自分もいた。でも気になる!!

 買えばいいじゃん。でもいらないよ。じゃあやめれば。でも何が入ってるか気になる。そうだね。でも500円だよ、そんなたいしたことないって。

 そんなやり取りを数分していたら、母が買ってくれた。

 

 いらないものを買ったというドキドキ。

 何が入っているんだろうというワクワク。

 

 帰宅して早速開けました。

 もう、大爆笑。

 これ〜〜〜?という大爆笑。

 

 ネタバレは避けたいので何が入っていたかは言いません。

 いらないのに今も大切にしてます、そのバラ。